「普通にしているだけなのに、感じが悪いと思われている気がする」
「笑顔が苦手で、表情が硬いと言われる」
——そう感じている方へ。
実は、表情は話す内容より先に相手の脳に届いています。
無表情や表情の硬さがなぜ印象を変えるのか、
脳科学と心理学の研究をもとに、一緒に整理していきましょう。
この記事を読むとわかること:
・人の脳は0.1秒で表情から印象を判断している
・無表情・表情の硬さ・目が笑っていない——それぞれ相手にどう届いているかがわかる
・緊張すると表情が固まるのは脳の防衛反応であって、あなたのせいではない
・つくり笑顔が相手にバレる理由と、本物の笑顔との違いがわかる
・笑顔が苦手でも、鏡の前で5秒から始められる表情の変え方がある
表情はなぜこんなに印象を左右するのか——脳が「顔」を最初に読む理由

「表情ひとつでそんなに印象が変わるの?」
そう思うかもしれません。
実は変わります。しかも、
あなたが口を開く前から、
すでに判断は始まっています。
その理由を、研究データとともに
一緒に見ていきましょう。
人の脳は0.1秒で「この人の感情」を読み取っている
「初対面で何か言う前から、
もう印象が決まってしまっている」
そんな気がしたことはありませんか。
実は、気のせいではないんです。
プリンストン大学の心理学者
ジャニン・ウィリスとアレクサンダー・トドロフは、
人の顔写真をわずか100ミリ秒
(1秒の100分の1)見せるだけで、
見た人が「信頼できそう」「怖そう」
「感じがよさそう」といった
印象を形成することを確認しました。
しかも驚くべきことに、
時間をかけてじっくり見た場合の印象と、
ほぼ一致していたのです。
つまり脳は、
相手の顔を見た瞬間に
「この人は安全か、どんな感情か」を
自動的に読み取っています。
その判断材料として
最初に使われるのが「表情」です。
言葉より先に、
笑顔か無表情かが届いている。
これを知っているだけで、
表情を意識する理由が
腑に落ちてきませんか。
「緊張すると顔が固まる」のは脳の防衛反応だった
「大事な場面ほど表情が固まってしまう」
「笑顔を作ろうとしても
うまくいかない」
そういう経験がある方、
責めないでください。
それはあなたのせいではなく、
脳の仕組みによるものです。
人の脳には「扁桃体(へんとうたい)」
という部位があります。
アーモンドほどの大きさで、
恐怖や緊張など
「危険かもしれない」という場面で
自動的に反応します。
緊張すると、
この扁桃体が「脅威あり」と判断して
体全体に緊張信号を送ります。
その結果、
表情筋も固まってしまうのです。
心理学者のポール・エクマンは、
こうした感情による表情の変化は
意識とは関係なく起きることを
1972年の研究で明らかにしています。
つまり「緊張しているから
表情が固まる」のは
意志の弱さでも
努力不足でもありません。
脳が「今は緊張すべき場面だ」と
判断した結果なんです。
これを知ると、
「自分はダメだ」ではなく
「どうすれば脳を落ち着かせられるか」
という方向に考えると気持ちが整うはず。
「無表情・表情の硬さ・目が笑っていない」——それぞれ相手にどう届いているか

「普通にしているだけなのに」
「感じが悪いって思われたくない」
そう感じている方、
ここでは3つのパターンを
一緒に確認していきましょう。
悪い人だと思われているわけでは
ありません。
ただ、相手に「伝わっていない」だけ
——そう思うと、少し気がラクになりませんか。
無表情は「冷たい・怖い・感情がない」として伝わってしまう
「自分では普通にしているだけなのに、
なんか怖いって言われる」
そういう経験がある方に
知ってほしいことがあります。
笑顔の研究を専門にする
早稲田大学人間科学学術院の
菅原徹講師は、こう指摘しています。
「多くの人が無表情を
ニュートラルな状態だと思っているが、
表情筋の収縮がなければ
重力で顔の肉が下がり、
不機嫌そう・疲れた印象になる」
つまり「何もしていない」顔は、
相手には「マイナスの感情を
持っている顔」として
届いてしまうことがあるのです。
また菅原講師が
早稲田大学の学生を対象に行った
笑顔の実験では、
デュシェンヌ・スマイル
(目元まで動く本物の笑顔)を
自然に作れた学生は
全体のわずか2割でした。
「笑っているつもりなのに
伝わっていない」という状況が、
実はとても多く起きているんです。
「表情が硬い」と感じが悪く見える本当の理由
「感じが悪いと思われているかも」
「なんか距離を置かれている気がする」
表情が硬いと感じている方が
抱えやすい悩みです。
でも実は、
表情が硬い人が
「感じが悪い」と思われるのは
「人格の問題」ではありません。
コミュニケーション研究者の
チャールズ・バーガーと
リチャード・カラブレーゼは
1975年に「不確実性低減理論」を
提唱しました。
これは初対面の場で
「相手のことがよくわからない」と
感じるほど不安・警戒心が高まり、
反対に相手のことがわかるほど
安心感が生まれるという考え方です。
表情が硬いと
「この人、何を考えているかわからない」
という状態を生み出してしまいます。
その「わからなさ」が
相手の不安や警戒心を高め、
「なんか感じが悪い」という
印象につながっているのです。
あなたが冷たい人なのではなく、
相手がまだあなたのことを
「読めていない」だけです。
「目が笑っていない」と相手が感じるのはなぜか
「笑顔を作っているつもりなのに
目が笑っていないと言われる」
これ、とても多い悩みです。
そしてこれも、
意識の低さや努力不足ではなく、
表情筋の問題がほとんどです。
先ほどご紹介した菅原徹講師の研究では、
笑顔には2種類あることが
示されています。
ひとつは「デュシェンヌ・スマイル」。
口元だけでなく
目元の眼輪筋(目のまわりの筋肉)まで
動く本物の笑顔です。
もうひとつは「ノンデュシェンヌ・スマイル」。
口角だけ動いていて、
目元が動いていない笑顔です。
相手の脳はこの違いを
無意識に察知します。
口元だけの笑顔を見ると、
「笑っているけど、
本当は感情がないのかな」
「作っている感じがする」と
受け取られやすくなるのです。
「目が笑っていない」と言われる方の
多くは、眼輪筋が動いていないだけ。
訓練すれば変わります。
次のセクションで
その方法をお伝えします。
本物の笑顔はバレる?——つくり笑顔と本物の笑顔の違いを脳科学で解説

「つくり笑顔でも
笑っていれば大丈夫でしょ?」
実はそれ、相手の脳には
バレていることがほとんどです。
でも、だからこそ
「本物の笑顔を作れるようになる」
ことに意味があります。
その仕組みを一緒に見ていきましょう。
相手の脳は「本物かつくりものか」を無意識に見抜いている
「感情がなくても
笑顔さえ作っていればいい」
そう思っていた方には、
少し驚く話かもしれません。
笑顔の研究を専門にする
早稲田大学の菅原徹講師は、
人の顔の動きを数値化する
感性工学の手法を使って、
魅力的な笑顔と
そうでない笑顔の違いを
研究してきました。
その研究で明らかになったのは、
本物の笑顔(デュシェンヌ・スマイル)と
つくり笑顔(ノンデュシェンヌ・スマイル)では、
相手が受け取る印象が
大きく変わるということです。
では、なぜ相手に
バレてしまうのでしょうか。
ポイントは「目元」です。
本物の笑顔では、
口角が上がると同時に
目のまわりの筋肉
「眼輪筋(がんりんきん)」も
自然に動きます。
一方つくり笑顔は、
口角は上がっていても
眼輪筋が動きません。
相手の脳はこの違いを
意識せずとも察知します。
「なんか笑顔なんだけど、
目が笑っていない気がする」
その感覚は気のせいではなく、
脳がちゃんとキャッチしている
サインなんです。
ただ、ここで大切なことがあります。
「つくり笑顔はダメ」
ということではありません。
菅原講師はこう述べています。
「本物の笑顔を作れた学生は
早大生でも2割しかいなかった。
つまり多くの人が
練習なしには作れない」
つまり本物の笑顔とは、
感情が高まったときに
自然に出るものだけでなく、
意識的に練習することで
作れるようになるものでもあるのです。
「笑顔が苦手」と感じている方、
あなたが特別なのではありません。
作れていない人の方が
むしろ多いんです。
だからこそ次のセクションでは、
「今日から使える表情の変え方」を
お伝えします。
表情を意識的に変えると印象は変わる——今日から使える3つの実践

「表情が硬い・笑顔が苦手」
そう感じてきた方へ。
表情は変えられます。
性格を変える必要はありません。
「使う筋肉」を変えるだけでいいんです。
今日から試せる3つの実践を
一緒に見ていきましょう。
「気分が乗らなくても」表情から変えると、印象も気持ちも変わっていく
「笑顔を作ろうとしても、
気分が乗らないと
うまくできない」
そう感じる方は多いと思います。
でも実は、
順番が逆でもいいんです。
気持ちが先に来て
笑顔になるのではなく、
表情を先に変えることで
気持ちも少しずつ変わっていく。
そういう仕組みが
人間の脳には備わっています。
これは「ジェームズ=ランゲ説」
と呼ばれる考え方で、
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズと
デンマークの生理学者カール・ランゲが
19世紀に独立して提唱したものです。
「感情が先にあって
体が反応するのではなく、
体の変化が感情を生む」
という理論です。
笑顔を作ると楽しくなる、
背筋を伸ばすと自信が出る——
日常で感じたことがある方も
多いのではないでしょうか。
では具体的に、
今日から何を試せばいいか。
3つのステップをお伝えします。
ステップ①:口角を1センチだけ上げる
「笑顔を作ろう」と思うと
一気にやろうとして
かえって不自然になりがちです。
まず口角を
1センチだけ上げることから
始めてみてください。
それだけで顔全体の印象が
やわらかくなります。
ステップ②:目元をゆるめる
口角が上がったら、
次に目元を意識します。
「目を細める」ではなく
「目のまわりの力を抜く」
イメージです。
眼輪筋が自然に動くと、
相手には「目が笑っている」と
届くようになります。
ステップ③:鏡の前で5秒だけ練習する
菅原徹講師が強調しているのは
「笑顔は作法である」ということです。
毎朝洗顔のついでに、
鏡の前で
①口角を上げる
②目元をゆるめる
③その顔を2〜3秒キープする
これを5秒だけ繰り返す。
この習慣が積み重なると、
自然に目元まで動く笑顔が
作れるようになっていきます。
「笑顔が苦手な自分は
おかしいのかな」と
感じてきた方へ。
菅原講師の実験では、
早大生でも
本物の笑顔を作れたのは
わずか2割でした。
笑顔が苦手なのは
あなただけではありません。
ただ、練習すれば変わります。
完璧な笑顔を目指さなくていいです。
まず明日の朝、
鏡の前で5秒だけ試してみてください。
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まとめ
表情は変えられます。
プリンストン大学の研究で人の脳は0.1秒で表情から
印象を判断することが確認されています。
無表情・表情の硬さ・目が笑っていない——
これらは性格の問題ではなく、使う筋肉の問題です。
早稲田大学の菅原徹講師が指摘するように、笑顔は練習で作れるようになります。
明日の朝、洗顔のついでに鏡を見たとき、
口角を1センチだけ上げてみてください。それだけでいいんです。
あなたが素敵な毎日を送れるようにお祈りします!
では今回は以上です。
次の記事でお会いしましょう!
